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偽島は、偽物だから否定されたわけではない。

 

 全員とは言わないが、今までのファフナーシリーズを追ってきたファンは、偽島への言いようのない違和感、不快感を抱く人が多いと思う。

 そして「この偽物の島を否定したい」という思い。それはファンとして、あるいは一個人としての感情かもしれないし、作中で真壁一騎らがあの島を沈めるという選択をしたからそれに納得できる理由が欲しいという欲求かもしれない。

 

 偽島と竜宮島、表面的な部分だけを見ればあまり違いはない。

 「血が繋がらないのに同じ苗字をして家族ごっこをしている」という事実でさえ、竜宮島で羽佐間家や春日井家が行なっていたことと同じである。血の繋がりの有無は、苗字が同じであることやそこに愛情があることと何ら関係がない。

 だから、今まで私はそこに「偽島が偽物であるゆえんがどこかにあるはずだ」と思い込んで、「似ているようで決定的に違う何か」を探すように偽島を見ていた。

 

 円盤で再生していて印象に残った一騎のセリフがこちら。

 

「大勢から大切なものを奪って作った、お前たちだけの平和だ」

 

 ここで、『今までの竜宮島の在り方』と偽島を比較するのはナンセンスだということに気づいた。鍵は「彼らだけの楽園」という部分である。

 HAEまでの竜宮島は、そうせざるを得ない状況にあったとはいえ、自分たちだけ平和な島に閉じこもっていた。

 EXODUSで彼らはそれを否定した。島の外に出向き、世界を見て、志を同じくするものと出会い、仲間になり、共に新天地で暮らすという選択をした。そのためになら、共に暮らした故郷を沈めることさえ選択した。

 EXOのCDドラマTHE FOLLOWER2で皆城総士はこう言った。

 

「ただ閉じこもり、島自ら対話の道を拒むというなら、今の僕はその選択を、この島の在り方を否定する」

 

 偽島は、偽物であるから否定されたのではない。EXODUSで彼らが否定し、捨てた在り方だったから否定されたのだ。

 EXOとBYOはセットで扱われることが多いが、これこそがTHE BEYONDだったのだ。一騎たちがROL・無印・HAEを経てEXOで達成したテーマを、この3話でなぞったのだ。

 そして「奪われたことへの悲しみと怒り」にどのように対応するかこそが、これからを歩んでいく上で大切になる。そこで美羽が「嘘をついてないことがわかる」という能力でもって総士を導いたのはとても重要だったように思う。

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